外壁タイルの剥離現象が著しい建物の問題を色々と相談されてきましたが、これまで主にコンクリート下地の問題が最大の問題と考えてきましたが、最近経験した建物の不具合をみると、建物によっては少々異なった傾向の剥離があることもわかってきました。根本はコンクリート下地面がツルツル状態であることに変わりはないのですが、浮きが顕著な箇所のタイルを剥がしてみると、思ったほどツルツルではないけれどタイル浮きが発生していた箇所が結構あったのです。パネコートという塗装型枠が原因であることは変わりませんが、単純に型枠材だけの問題ではなく、タイルの貼り方の施工内容も大きく影響しているように思われます。
これらのケースで共通する点は何かというと以下の点でした。
■タイルの接着モルタルの塗り厚が薄い!
このことがタイルの剥離とどういった関係にあるかといえば、主に次の2点になるかと思います。
1)接着モルタルが薄いと、夏の暑い時期には接着モルタルのドライアウト(接着表面が早めに乾燥・硬化)が発生し、コンクリート下地面への十分な接着強度が得られない。
2)タイルとコンクリート下地面を十分に接着させるためには、タイル貼り後にタイル面をしっかり叩く必要がありますが、接着モルタルが薄いとタイルを叩いた効果が出にくく、タイル裏の足部分に接着モルタルが入り込まない。
上記の2点は施工不良の範疇に入りますが、タイル職人の認識力・熟練度によって影響が出やすい内容と思われます。塗装型枠を使用していなかった頃はコンクリート下地面に適度の粗さがあり接着モルタルの塗り厚さも必然的に厚くならざるを得なかった事情もありますが、コンクリート打設技術の精度向上により、接着モルタルを薄くする事も技術的に可能になった上に施工費削減要請が重なり、施工現場での接着モルタルの塗り厚不足傾向に繋がった可能性が大きいと推測されます。
不具合タイルを剥離する際に剥がしたタイルの裏側の接着モルタルが綺麗に取れてしまっているケースではコンクリート下地の問題に加え、タイルの貼り方にも問題があった可能性も考えられますので、両面からの原因追及が必要となります。