マンションには色々な価値観の人達が住んでいるため、時に色々なトラブルが生じることがあります。実際にあった話として、少々恐ろしい話をご紹介します。
200戸を超えるマンションでの出来事ですが、一人の住人が大規模修繕工事実施中のどさくさに紛れ、使用細則に規定されている事前届を行わずに、大規模修繕工事とは無関係な改装工事を実施しようとしているとの連絡を受けた理事長が確認のために工事中の部屋を訪れた際のことを、後日になってから、在宅中だった居住者から警察に対して、居室内に立ち入ったという理由での被害届が提出されました。
管理組合理事長は使用細則の規定内容の事実確認のために、その場所に出向いただけで、いわば、管理組合理事としての役割を全うしただけのことですから、本来であれば、被害届を出されるような類の行動ではないのですが、使用細則を無視して改装工事を実施しようとした住民の嫌がらせとも考えられる行いで、
その後、所轄の警察から呼び出しがあり、被害届の対象である理事長と管理員が長時間の調書を取られる羽目になりました。
事情を説明すれば、警察は正当に理解してくれるものと考えていた我々の思惑とは異なり、現実は想定外の方向に動き始めたのです。確かな情報としての裏が取れている訳ではないのですが、被害届を提出した住民の親族関係者が、警察にプッシュした結果なのか、後日、理事長が被害届の状況を問い合わせたところ、「送検することになっている」という驚くべき回答が返ってきたため、当方から紹介した弁護士さんと相談しながら、事の進捗状況を見守ることになりましたが、結局、送検されることとなり、最終的に「不起訴」の回答を得るまで、4カ月以上を弄することになりました。
幸い、この事例では、理事会メンバーの結束が強かったため、被害届の当事者になってしまった理事長も何とか耐え忍ぶことができましたが、管理会社も腰が引けて、頼りにならない状況では当事者は大変な思いを強いられることになります。管理組合内のもめごとは当事者間の微妙な立ち位置の問題もあり、管理組合の費用を使って、弁護士に業務依頼することは難しいと思われますが、今回の事例のように、送検騒ぎに発展してしまうケースも実際にありうる訳ですから必要に応じて、弁護士に相談できる体制を考えておくことも必要かもしれません。