長期修繕計画案の作成に、どの程度の費用をかければいいのかは、一般の方にはわかりにくいポイントですが、一般的には大きく三つのスタイルがあります。
①管理会社が無料で提供するもの
②管理会社が有料で提供するもの
③コンサルタント会社が有料で提供するもの
まず①の管理会社が無料で提供する長期修繕計画案は、無料で作成しただけの内容であることが多いと考えられます。一般論として語れる内容で修繕計画を作成するため、安全率を高めに設定することにより高額の修繕計画になるケースと設備関係の修繕費用等の一般論では語れない費用を盛り込めないために穴だらけの計画になるケースの両極端に陥る傾向にあります。信頼性に乏しい傾向があります。
次に②の管理会社が有料で提供するケースでは、その内容が管理会社の実力に大きく作用される傾向にあります。管理する管理組合数が多い管理会社では、過去の事例から、有効な数字を提供することが可能な会社もありますが、数ある管理会社の中には、十分な能力を持っていないと思われる会社もあります。
三番目の③コンサルタント会社が有料で提供するものについて解説しますと、一般的には100万円前後の費用を要求されるケースが多いかと思われます。第三者のコンサルタント会社の費用がなぜ高めになるかといえば、資料ゼロからスタートするために、修繕工事立案に必要な資料を図面から積算することから始めなければなりません。我々が竣工図面から細かい数量を積算するためには、大まかに言って、20万円~30万円程度の費用が発生します。この積算は、工事面積や箇所数の積算だけですから、その数値を基にして、適正金額を決めていくわけですが、本当に大切なことは、細かい数値ではありません。
大切なことは、設備工事を含めた全体工事費のバランスです。細かい点に踏み込むことによって、全体が見えなくなることは問題です。
当方に持ち込まれる長期修繕計画案の見直し業務をやっていて感じることは、部分的に細かすぎる割りには、全体として必要な設備関係等の金額が抜けていることが多く、バランスの良い計画とは言えないケースが多いことです。毎年実施するわけではない修繕工事は修繕周期の適正化と抜けのないバランスのとれた計画を組むことが大切です。それぞれの細かい金額が正確でなくても全体として必要な内容が組み込まれていることの方が重要です。
当方の考え方では、バランスの良い計画案を作成するためには、30万円~40万円程度あれば作成できると判断しています。