札幌のあるマンション(RC造4階建て)で1年前に室内に漏水が発生し、調査したところ、防水層そのものに問題はなく、屋上防水からの漏水は考えにくい状態であると判定しましたが、天井からの漏水原因を色々検討した結果、漏水が天井照明内に発生した事象から、コンクリート躯体内に打ち込まれている照明器具を取り付けるためのアウトレットボックス及びケーブルを引き入れる電線管内部に結露が生じて、照明器具内部に水が溜まったものと推測し、その後の様子を監視したところ、梅雨時や台風シーズンには漏水事故は発生せず、防水層には問題ないという判定に間違いはないことを確認できましたが、前年の事故から約1年経過したこの冬に再度前回漏水部分からの漏水が発生したため、施工会社に現地確認してもらい、天井の壁紙を撤去したところ、前回の事故発生個所と少し離れた個所にある照明器具との間のコンクリートスラブ下端にクラックがあり、そのクラック周辺に水滴がついていることが確認できました。
さて、この水は何処から来るのか?現地確認をしてもらった施工会社の話では電線管の内部には水が溜まった形跡はなく、乾いているとの説明であり、だとすれば、この水は何処から来たのか???
そこで疑ったのが、「防水層内部結露」という現象ですが、建物内部や下地から発生した水蒸気が防水層の内側に溜まり、冷やされて水滴になる現象を言います。
今回の濾水発生が「防水内部結露」によるものと推測される理由を列記すると以下のようになります。
- 建物の立地が札幌で冬は雪に覆われる寒冷地であること
- 漏水の発生した部屋の天井仕上げは直仕上げで二重天井になっていない
(暖房した空気が直接冷えたコンクリートに接し結露しやすい) - 漏水箇所のコンクリート下端に明らかな連続クラックが発生している
- 屋上の露出防水(外断熱タイプ)に脱気筒がついていない
- 漏水箇所近くのコンクリートスラブは屋上防水の排水口に向けた低い位置で水が集まりやすい条件下にある
- 屋上のアスファルト外断熱露出防水の断熱材は設計図にGKボード50と記載されており、防水材と断熱材が一体化された断熱材であること
- 漏水の発生している個所は構造部材の床版としては構造壁から最も遠い位置にあり、床版自体に経過年数による弛みが生じている可能性大であること
以上の諸条件を考え合わせると、屋上の露出防水層とコンクリートとの間に隙間が生じている可能性が考えられ、その隙間で冬季に溜まった結露水が、コンクリート床のクラックを通して室内に漏水したものと判断できます。