構造スリットの悪戯の考察その2

構造スリットはコンクリート構造のフレームにしなやかさを持たせるために柱や梁の構造フレームと壁との縁を切る目的で設けられるので構造体の安全性確保のためには大切な考え方なのですが、一方で施工者泣かせのものでもあります。鉄筋コンクリート構造のコンクリート打設時は型枠内部に大きな力が加わり、鉄筋の位置も動いてしまったり、構造スリット用のスリット材の正確な位置確保もたやすいこととは思えませんが、構造スリットが構造フレームの三方に入っているケースでは、角部分の納まりが特に難しそうに思えます。

さて、鉄筋コンクリート構造の建物における不具合箇所の原因として、隠れ犯人のように思えるのが、この三方構造スリットです。構造スリットの本来の目的を再度考えてみると、柱と梁にしなやかさを持たせることですから、見方を変えると、建物に水平力が加わった際には構造スリットの存在により構造フレームと壁が違う動きをすることとなります。しかし、一般的に構造スリットの位置は外壁タイルをみてもわかりません。つまり、外壁タイルは構造スリットをまたいで貼ってあると考えるのが正しいのです。このことにより何が発生するかといえば、構造スリット周辺の外壁タイルに浮き症状が発生する可能性が高いのです。

また一般的な打継目地や伸縮目地と違い、構造スリットを境として構造躯体が違う動きをすれば、長年の繰り返しにより構造スリット目地に打たれたシーリングそのものも劣化が進行する可能性も考えられます。柱脇や梁上部のエフロが目立つ場合は構造スリット絡みで不具合が発生している可能性も考えられるので、専門家に相談してみた方がいいでしょう。

その際に注意したいのは、マンション修繕のコンサルタントの中には新築設計の知識が十分でない専門家もいる可能性がありますので、新築設計の豊富な知識を持った専門家に相談しましょう。

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