マンションの大規模修繕工事に必要な工事項目の中には必ず仮設工事という項目があります。
仮設工事にも2種類あり、共通仮設と直接仮設という項目に分けられることが一般的です。
共通仮設とは、工事のために必要な現場事務所や作業員用のトイレ、業務用の通信施設等のことをまとめて共通仮設と呼びます。直接仮設は作業員が修繕工事を実施するために必要な足場等のことをいいます。
大規模修繕工事では、この仮設工事費用の比率が高く、小規模マンションや限られた工事項目の場合は全体工事費の30%程度になってしまうケースもあります。一般的には15%~20%程度と考えておけばよいと思いますが、一般的な大規模修繕工事の1戸あたりの負担費用が100万円かかると仮定すれば、15万円~20万円程度は、修繕工事そのもの以外で消えてしまうことになります。
毎年、何件かの大規模修繕工事を実施しておりますが、入札を実施して見えてくることは、この仮設費用の金額が業者によって、大きなバラツキがあり、大きな会社ほど仮設工事の金額が割高になっていることがわかります。直接仮設の単価で見てみると20%~30%程度の差があることはよくあることです。
仮設足場にもいろいろな種類がありますが、一般的に見かける枠組足場や単管足場のように、足場の外側に養生シートをかけるタイプ以外に、屋上から吊り下げるゴンドラ足場もあります。一般的には、あまり使われませんが、修繕内容によっては、ゴンドラ足場を採用することもあります。このゴンドラ足場の費用に関しては、業者によって、かなりの開きがあり、業者によって3~4倍程度の差が発生するケースもありました。その原因は、仮設費用に対する各業者の捉え方の違いと、仮設資材を自社で所有しているか否かにもあるのかと思います。
大規模修繕工事を計画する際には、この仮設工事の内容と必要とされる修繕工事内容の方向性をシッカリ見極めることが重要と言えます。適切な工事計画を立てれば、30%~40%程度の工事費用削減も現実的な世界になってきます。