世界的な気候の変化の影響か、最近は集中豪雨が多くなりました。数年前の豪雨で海際マンションの機械式駐車場が水没した時点あたりから、半地下マンションの床上浸水、1階管理室床への漏水、タウンハウス地下室での床上浸水、都市型マンションの1階店舗部分への床上浸水、マンション居住区への漏水と黴発生等々 私が原因究明のために出動した回数は かなりの数になりました。
漏水の原因は大きく2種類に分けられます。
①設計に問題がある場合
②施工に問題がある場合
これまでは、施工に問題ありとして処理されてきたケースが多かったと推測されますが、専門家として事故現場を調べてみると、設計そのものにかなり問題があるケースが多いように思われます。
設計者そのものが建物を深く理解していないケースもありますが、マンションを計画する事業者サイドも設計の大切さをあまり理解しておらず、設計の主眼が売りやすさを中心に考えられているように思われます。
●水は高い所から低い所へ流れる。
●小さな隙間でも水は浸入していく。
●シーリング材では水は止められない。
●建物は年がら年中動いている。
等を考えれば、建物の防水対策はどうすべきか。建物をよく理解している技術者ならわかる話です。
企業の利益を最優先させて、設計と施工を軽視してきた業界全体の問題ともいえます。
■建物の周囲に水が滞留しないようにする。
■観建物の細かな納まり部分に雨水が襲い掛かってくる状況を作らない。
この2点を考慮して建物を設計すれば、あまり難しい問題ではありません。しかし、地下等の条件の厳しい部分に部屋を作る場合は、そのリスクに対して、充分な資金を投入して対処すべきなのです。販売コストを抑えるために、弱い部分にもコスト削減のみを求めるのは間違いです。
売れることと、自社の利益のみ最優先で計画を続ける以上、これらのトラブルはなくならないと考えられます。