あるマンションの部屋で結露が発生し、原因を調べることになった。部屋のコーナー部分の結露は下地ボードの裏打ち断熱材のちょっとした隙間から結露が発生していることが判明したが、収納内にも結露が出たらしく、住人の説明によると収納内の荷物が黴だらけになってしまったらしい。図面で確認すると、その収納内には設備のパイプシャフトが通っているため、施工会社に指示し、パイプシャフトとの仕切りのボードを剥がしてもらったところ、排水管用の通気管部分に断熱材が巻かれていない。通気管は何のためのものかといえば、トイレ等の大量の排水を流す際は外気より空気を取り込めないと、排水がスムーズにできないため、普通は屋上まで通気管が延びている。通気管の先端は外気と接しているので、通気管そのものが冷えることになり、暖かい室内では熱交換が生じ、結露が発生することになるので、施工業者に通気管も断熱材で被覆するように指示した。
それにしても、通気管だけで、そんなに激しい結露が起きるだろうかと考えながら、さらにパイプシャフトの中を覗いていくと、奥まったところに何か配管がある。何だろうと思って鏡で中を覗いてみると、そこには給湯配管用のヘッダーがあったのです。給湯配管用のヘッダーとは何ぞやということですが、給湯配管には大きく2種類の配管の仕方があり、一つの方法は旧来のスタイルで必要箇所まで銅管をつなぎながら配管する方法。この方法のデメリットは銅管の接続箇所に施工上の不具合が発生すると給湯の漏水事故が発生する可能性があることで、この漏水事故を防ぐために1か所から、それぞれの器具まで1本づつ給湯管を配管するのがヘッダー方式で一般的にヘッダーから先の給湯管は途中で接続をしない長い1本のパイプで給湯します。
問題はそのヘッダーの収納場所でした。収納の裏側は平面でいうとキッチンに当たり、キッチンカウンターと重ならないようにキッチンカウンターの裏側の部分を隣室の収納内にヘッダー用のスペースをとったのでした。そのため、ヘッダーを通ってお湯が流れる度に収納の裏側に熱がこもることになっていたわけです。こういったことは完成した内装を撤去しないとわからないことなので、他のケースでも結露発生の原因となっている可能性もあるかもしれないと感じました。
結露の原因を単なる暖房の話として済ませてしまうことが多いと思いますが、著しい結露が発生している場合は他に原因があると考えた方が良いでしょう。