消費税増税前の駆け込み工事は正解か?

来春に消費税増税が控えているせいか、このところ大規模修繕工事の入札現場に微妙な兆候が現れている。どういった現象かと言えば、「現場代理人不足」と「下請け業者の不足」の兆候である。

現在進行中の秋の大規模修繕工事に関し、立て続けに入札参加辞退の会社が何社か出てしまった。多少の入札参加辞退はこれまでにも何度か経験しているが、一つの物件で4社も見積辞退したケースは前例がない。各社が口を揃えて主張しているのが現場代理人の手当てができないという話。他の会社に聞いてみても、現場代理人の確保が困難との回答であった。現場代理人が足りないということは、当然の結果として協力会社の不足も深刻だということになる。

皆さんもご存じのように、建設業界は2層構造・3層構造になっていて、元請会社が全体のとりまとめをし、その下に下請け会社が入り、その下に職人グループが入る構造になっている。現場代理人は本来は元請会社の社員が務めるのが筋であるが、マンションの大規模修繕工事のように比較的工事金額の小さな工事までは手が回らないことも多い。そういった場合は元請会社の社員でない人間が現場代理人を務めているケースも結構多い。

現場代理人不足も問題ではあるが、前述したように現場代理人が不足していれば、同様に下請け会社も不足する傾向に陥ることはたやすく推測できる。その結果、どういった現象が起こるかといえば、工事費の高騰につながってくる。利益率の少ない金額で落札しても、下請け会社に支払う金額がオーバーすれば赤字になる可能性も高く、リスクを回避するために元請会社としては通常よりも高めの金額を提示する傾向になる。

建設工事費は時価のような面もあり、需要と供給のバランスでコストが決まるので、人手不足の傾向が出始めると、工事費も高騰する可能性が高い。

消費税の増額分は来年は3%増の予定であるが、工事費のアップ率は10%を上回る可能性も高いので、駆け込み需要の傾向にある場合は急いで工事に着手することが本当に賢明な策かどうかは冷静に見定める必要があり、駆け込み需要が落ち着いた後の方が適正な金額を提示してもらえる可能性が高いと考えてみる必要もある。

戸数の大きなマンションでは、ほとんど影響が出ないかもしれませんが、工事費が3000万円を切るような比較的小規模のマンションは敬遠されがちなので、よく考えてみた方がいいでしょう。

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