マンションの給排水設備更新

マンションのような共同住宅では外装・防水等の一般的な大規模修繕工事は比較的頻繁に行われますが、人で言えば内臓にあたる給排水配管等の設備関係の更新工事は実施時期判断や修繕積立金の問題等、一般の人達には判断しにくい問題も多く、管理組合内でもめる要素の多い修繕工事と言えます。

給水管として塩ビライニング鋼管等の被覆鋼管が使われていなかった古い時期のマンションでは赤水問題の解消のため、給水管内部の錆やスケールを除去した後にエポキシ系の樹脂を流して内部にコーティング層を形成させる所謂「ライニング工法」がかなり前から行われてきましたが、比較的最近の建物では古いマンションのような被覆なしの白ガス管ではなく、予め鋼管内部に塩ビ樹脂をコーティングしてある塩ビライニング鋼管が使われているため、以前のように赤水で悩まされるマンションは減ってきていると思われます。

とはいえ、給水鋼管の接続部分に発生する錆こぶやスケールで給水管内部が動脈硬化のような状態になっているケースも多く見られますが、不具合発生の原因としては元々の設計内容や施工内容の質や給水源の水質の違い等も言われもしますが、詳しい事がわかりにくい世界です。

給排水設備とひとまとめにして語られますが、給水設備と排水設備の違いも認識しておく必要がありますので、要点を簡単に以下にまとめてみます。
①給水配管には水圧がかかっているため、配管にピンホール等の穴があくと大きな漏水事故になる。
②排水配管には水圧はかかっていないので、量的に大量の漏水事故にはなりにくいが排水という性格上、被害者への心的不快感が大きい。
③排水配管は原則的に重力の法則に従った流し方となるため、配管ルートが限定的となり、改修工事に大きな費用が発生する傾向がある。

給水配管のエポキシ樹脂によるライニング工法は比較的工事がしやすく、工事実績も多くありますが、管理組合にとって大きな負担となるのが排水配管の劣化と更新方法です。排水配管内部は水圧がかかっていないとはいえ、給水配管に比べ、配管内径が大きなものが多く、接続部分に錆が発生し、穴があいてしまうケースがあります。また、使われている白ガス管が鋼管製作の際の工法の一つである、電縫鋼管であると、経年劣化により管精製の際に溶接された部分が線上に劣化するケースも見られ、補修のタイミングが重要となります。

いずれにしても、かなり専門的な立場で分析し、改修方法を提案してもらわなければなりませんので、まずは自分達のマンションの給排水配管がどのような設計内容になっていて、どこに問題があるかを工事目的でない専門家に判断してもらい、修繕工事の方向付けをしてもらうことが大切です。

現在、都内のあるマンションの給排水管調査を実施しているところですが、第一段階で設計図と施工図の解析にジックリ時間をかけた後に調査の下準備のための現地調査を実施し、共用部及び専用部の調査箇所を決め、これから内視鏡を使用した劣化調査を実施する予定になっていますが、配管調査実施後に改修工事方針を提案して管理組合に検討してもらう手順です。改修工事実施の際は今後作成する仕様書に基づき入札を実施して施工業者を選定することになります。

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