管理会社任せの大規模修繕工事は高くつく

管理組合の大規模修繕工事を消費者目線でサポートしてきましたが、10年以上の入札実績の中で、面白い数字が残っています。管理会社が提示する金額は、ほぼ専門工事会社の1.5倍になるというデータが残っております。当方が管理組合のコンサルタントとしてサポートする場合は、入札に参加する工事会社を管理組合内で公募してもらい、当方からは優良企業を5~6社程度推薦した上で、公正に入札を実施します。当方のようなコストに厳しいコンサルタントが管理組合をサポートする場合、賢い管理会社は恥をかかないように、入札に参加しないことも多いのですが、たまに業界の実態を知らない管理会社もいて、一企業として入札に参加することもあります。その場合の入札結果が不思議と全て同じく最安値提示企業の約1.5倍となるのです。

しかし、その1.5倍という数値にはそれなりの根拠があると考えます。管理会社が大規模修繕工事を請け負う場合は、ほぼ100%が工事本体は外注となります。管理会社は工事専門会社ではないので、工事を直行で行う部隊は社内にはおりません。要するに管理だけするわけですが、これを言い換えれば、早い話が「丸投げ」です。その外注費用の経費に管理会社の管理費として15%か20%かが加算され、更に管理組合相手というリスク要素を15%か10%程度加算し、安全率を20%程度を加算すれば、全体では50%増しの数値になります。詳しい内訳はそれぞれの事情により異なるとは思いますが、結果としてだいたいのケースで管理会社が提示する工事費用は最安値を提示した専門工事会社の金額の約1.5場合なのです。この傾向はだいたいにおいて同じです。

「面倒だから管理会社に任せる」
「管理会社に任せておけば間違いないだろう」

という区分所有者の心の隙に上手く入り込み、大きな利益を上げているのが管理会社であると言えます。もちろん、この事は違法行為ではありませんので、法的には何ら問題はないのですが、区分所有者が呑気に見過ごしていると、貴重な管理組合の修繕積立金が浪費されることになります。

現在進行中の入札でも、最安値は中堅処の真面目な工事会社が約4000万円の金額を提示し、大手不動産企業系の管理会社が6000万円超えの金額を提示してきました。恐らく、その管理会社の担当者はそれなりに絞った見積を作成するべく努力したものとは思いますが、普段から厳しい競走に曝されていないために、業界の最前線の情報に疎いのだと思われます。
管理会社に大規模修繕工事を依頼してはいけないとは言いませんが、貴重な修繕積立金を大切に管理していきたいと思うのなら、管理会社任せではない進め方を研究する方が賢明です。

専門家であるコンサルタントに費用を200万円支払ったとしても工事費が2000万円安く上がれば、万々歳な結果です。

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