ルーフバルコニーの下階に漏水のリスクが高い理由

最近依頼された漏水調査の結果、共通する漏水原因が確認された。最近3件の漏水調査はいずれもルーフバルコニー下階での事故で、共通する項目は以下の内容となっています。

1) ルーフバルコニー下階に漏水が発生。
2) ルーフバルコニーの防水は健全であった。
3) 漏水箇所上部にサッシがある。

以上の特徴を専門的に解析すると、漏水原因として、次の特徴が見えてくる。

①雨水はサッシ周囲から侵入している。
②サッシ近辺の床コンクリートに構造クラックがある。

上記①と②の原因を説明すると以下のようになります。

①の理由:サッシはコンクリート壁にサッシより大きい開口部
をあけておき、コンクリート壁に取り付けた後に隙
間をモルタルで埋めるため、水の通る隙間があり
サッシ周囲に雨水が侵入すると、室内に入りこむ
確率が高い。更に、サッシ下部は防水層とは縁が
切れているため、サッシ下部の高さが低い場合は
サッシ下から雨水が侵入する可能性が高い。

②の理由:ルーフバルコニーは建築基準法の斜線規制等の
理由により下階よりセットバックしていることが多く
多くの場合はセットバックした壁位置下部の床コ
ンクリート版に小梁が設けられておらず、上部壁
位置の下部床コンクリートに構造クラックが発生
していることが多い。

多少の雨水が室内側に侵入しても、床コンクリートに構造クラック等の雨水を通す隙間がなければ下階への漏水事故には発展しない訳ですが、ルーフバルコニー部は①②の条件が揃うので、漏水事故の発生率が高い場所になる訳です。

ちなみに最近調査した事例では全て上階壁位置下部に明確な構造クラックがありました。

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