防水更新工事の落とし穴

本格的な防水の保証期間は一般的に10年というものが多く、建物を管理する立場になってみると、保障期間を過ぎた防水は問題ないのかが気になります。他の解説でも説明しましたように、保障期間は防水の寿命を意味するものではありませんから、保障期間が過ぎてるからといって、無理に防水を更新する必要はありません。傷み方は建物によって千差万別ですから、それぞれの施設で判断すべきものです。

そこで問題となるのが、防水の更新方法なのですが、一般的な修繕工事の場合、既存の防水層の上に新規に防水を重ねるケースがほとんどです。ここで、注意したい点は、まず、漏水等の不具合があるかどうかが大きな問題となります。過去に漏水等の不具合がない場合は、既存の防水が正しく機能していたことになりますが、なんらかの不具合があった場合は、漏水原因を究明することが、とても大切なことです。言い方を変えれば、漏水原因がハッキリしない場合は、無理に防水工事の更新をしない方がいい場合もあります。

いろいろな防水の不具合を見ていて気づくことは、漏水には二種類あって、一つは正に防水層そのものに問題があるケース。そしてやっかいなのが、漏水原因が防水層そのものでなくて、他の原因で事故が発生しているケースです。このやっかいなケースとはどういうことかといいますと、防水層以外の場所から防水層の裏側に雨水が回っていることがあるということです。つまり、漏水原因が防水層そのものではありませんから、いくら防水層を更新してみても、漏水を止めることにならないのです。

われわれ設計者にとって、防水は結構やっかいな存在で、なかなか完璧を期待することができません。

不具合の発生している建物を調べていくと、防水に対する設計の考え方が安易な場合に、不具合が発生していることが多いと思われます。

漏水の問題がある場合は、安易に防水を更新することをやめて、まず専門家に漏水原因を究明してもらい、対策を練ることをお勧めします。安易な防水更新は費用の無駄遣いにつながります。

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